「SIerはメモリ2GBのマシンで開発してる」ってどこの世界の話ですか?

今ネットで話題になってる怪文書について。

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ネットでよく流れてくるあるあるネタとして「メモリ2〜4GBのマシンで開発」「ファイル名_日付でバージョン管理」「スクショエビデンス」みたいなのと同じ系統だけど、正直この手の話って全くリアリティ無いんだよね。

 

一応自分も3年前ぐらいに某NTTのグループ企業の一社と仕事したことあるけど、そこの現場ではメモリ16GBの新品のMac bookが各エンジニアに支給されていたよ。(プロパー、協力会社関係無く)

 

ちなみにコミュニケーションツールにはSlackが使われてて、バージョン管理はGitLabだった。

 

そこ以外にもフリーランスとしていくつかのSIerやその子会社を渡り歩いてきたけど、今時どの現場行ってもGitが使われてるし(Git以外が使われてる現場を見たこと無い)、RedmineやBacklogみたいな何らかのチケット管理ツールが使われてるし、ましてメモリ2GBのマシンで開発してる現場なんて見たことも聞いたことも無い。

 

例えば今いるNTTとは全然系列が違うSIerの開発現場でも、メモリ16GBのノートPCと外部ディスプレイのマルチディスプレイ環境でみんな開発してるし(自分の携わってる案件以外も含めて全フロアで)、自分が関わってる案件では検証用にメモリ64GBのサーバー用マシンをレンタルして、そこに複数の仮想マシン立てて自由に使ってたりする。

 

バージョン管理はやはりGitLabが使われてて、チケット管理やコミュニケーションはRedmineベースで、エビデンスなんかは検証手順やソースコードRedmineに記載して再現可能な形で記録するようになってる。

 

繰り返しになるけど、今の現場が特殊なのではなく、自分が今まで関わってきたSIerの開発現場はどこも似たようなもんだった。

 

だから、冒頭に貼り付けた記事にあるような「メモリ2GBのマシンで開発」とか「ファイル名_日付でバージョン管理」とか「スクショエビデンス」とかいう話ってにわかには信じがたいし、ただの誇張したネタだと思って受け流してきたんだけど、どうもマジなんじゃないかっていうリアクションが多くて困惑してる。

 

しいて言うと、コミュニケーションツールに関してはSlackやスカイプ等のチャットツールの使用率は半分ぐらいで、現場によっては未だメールベースでやりとりしてるところは結構ある印象。

 

とはいえ、開発用PCのメモリ2GBとか、日付でバージョン管理とかはさすがに見たこと無いわ。

 

けどネットではそれが既成事実として、「だから日系企業はダメなんだ」、「生産性が低いんだ」、みたいな話になってるけど、いやいやちょっと待って、どこの世界の話をしてるの?本当にそんな世界が実在してるの??という。

 

ちなみにSIerと聞くとレガシーな開発環境で技術力が低い人ばかりだというイメージがネット上では強いと思うけど、例えばデータエンジニアリングの世界で言うとHadoopコミュニティへの貢献度では世界でも指折りの企業として知られてるのが、NTTデータだったりする。

ビッグデータ時代をリードする世界第4位のHadoop開発企業|NTTデータ

 

国内でも数えるほどしかいないであろうHadoopのコミッター達が、メモリ2GBのマシンを使い、ファイル名_日付でバージョン管理してるなんてことは、普通に考えてあり得ないと思うんだけど..。

 

もちろんNTTデータといっても部門によって全然違うだろうし、Hadoopコミッタがいる部署ってのはたぶん研究開発とかのごく一部の特殊な部署なのかもしれない。

 

別にNTTデータを擁護するつもりもないし、むしろメモリ16GBのマルチディスプレイでGitを使ってモダンな環境で開発してようがそんなことは関係無く、SIerは構造的にクソである、というのが自分の立場なので。

 

ということで、自分の経験からは冒頭の記事の内容が現実のものであるとは信じがたいんだけど、実際のとこどうなんでしょーか。