本当に「大企業でも安泰ではない時代」なのかデータを調べてみた
まずは過去25年ぐらいの企業全体の倒産件数の推移を。
引用元: 2017年(平成29年)の全国企業倒産8,405件 : 東京商工リサーチ
あれ、なんか倒産件数自体年々減ってきてない?
直近25年ぐらいで最低水準じゃん..。
一応、もうちょい長いスパンのデータも見てみた。
倒産件数・負債額推移(全国企業倒産状況) : 東京商工リサーチ
上記のリンクにあるデータを見ると、2008年から一貫して倒産件数が減り続けていることが分かる。
直近30年の倒産件数と比較しても、2014〜2017年までの総倒産件数はトップ5に入る低水準。
バブル崩壊時の1990年とその前年度の水準と比べても大差無いほど少ない件数。
この時点で「大企業でも安泰ではない時代」とかいう言説がデマというか、なんの根拠も無い思い込みなんじゃないの?って結論出しても良い気もするけど、もうちょい調べてみます。
もしかしたら、大企業だけに限定すると倒産件数増えてるデータがどっかにある可能性も無きにしもあらずなので。
一応、大企業の倒産件数は上場企業の倒産件数で近似できると仮定して、上場企業に絞った倒産件数の推移を見てみる。
引用元: 2017年の上場企業倒産状況(速報値:12月29日17時現在) : 東京商工リサーチ
んー、まあ2000年代前半とリーマンショック直後がちょい倒産件数多めだけど、全体的に増加傾向にあるようには見て取れない。
例えば非上場企業含めた全体の倒産件数を見ると2008年は1万5000件近く倒産していて、その内上場企業の倒産件数は33件ってことでしょ。
もちろん企業の数自体は非上場企業の方が圧倒的に多いだろうけど、普通に考えれば景気のしわ寄せってまず中小企業に行くわけで。
ちなみに下記の上場企業数の推移のデータを見てみると、1990年代と比べて2018年の上場企業数は2倍近くに増えてる模様。
https://www.jpx.co.jp/listing/co/tvdivq0000004xgb-att/tvdivq0000017jt9.pdf
つまり30年前ぐらいと比較して倒産件数が2倍になっててもトントンってこと。
しかも、"大企業"をもうちょい絞って捉えるなら、ほぼ東証一部上場企業とかに絞れると思うんだけど、そうなるとさらに倒産なんてめったに起こらない。
というわけで、「大企業でも安泰ではない時代」とかなんの根拠も無く適当な感覚だけで言ってるだけでは?という疑いが濃厚に。
むしろ「過去に引き続き今でも大企業の方が安泰」なのでは...?
それとも何か別の統計調査があるのか、別の見方をすると大企業が潰れやすくなってるデータが浮かび上がってくるのか。
正直、たまたま直近でどこか大企業が倒産した例外的な事例だけを見て「大企業でも潰れるんだ!」と条件反射してるとしか思えない。
いやむしろ、就活生や大多数の中小企業勤めの人向けの煽りマーケティングとして恣意的にデマを流してるんじゃないか。
過去のデータの推移を見れば、バブルの時代も倒産してる企業はたくさんあるし、むしろここ10年は倒産件数は右肩下がり。
仮にもし根拠もなく適当な煽り文句として言ってるとしたら、就活生や社会人に誤情報を与えて誤った判断を招きかねないめちゃくちゃ悪質な行為だと思う。