やっぱりおかしいよ日本のIT業界

すでに散々っぱら言われてることだけど、いや、やっぱどう考えてもおかしいだろ、感覚麻痺してないか?ってのを改めてIT業界に身を置く人達に問いたい。

 

以下に、日本のIT業界のおかしさを端的に表した、すごく分かりやすいデータを貼る。

 

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 IT人材白書2017 p.13 図表1-1-11

 

日本だけIT企業に所属するエンジニアの比率が群を抜いて高い。

 

これが意味するところはつまり「日本のユーザー企業はIT技術者を直接採用せず、ITベンダに外注する傾向が世界に類を見ないほど突出して高い」って話で、まあこれまで散々言われてきたことだし、ITに関わる人はみんながどこかで見聞き、もしくは経験してることではあると思う。

 

じゃあどういう風に外注に出されているのかってのもこれまた散々言われてることだけど、実際に具体例で示した方が実感しやすいと思うので、今話題の富士通さんを引き合いに出させてもらう。

 

学生とかに富士通ってどんなイメージ?って聞いたら、たぶん「富士通株式会社」っていうでっかい1つの会社がそびえ立ってるような印象を口にする人も多いんじゃないかな。

 

IT業界に身を置く人なら、富士通本体の下にシステム子会社が5〜10個ぐらいあって、その子会社に仕事流してるんでしょ?ぐらいのイメージなんじゃないかな。

 

僕もそんな風に思ってたウブな時代があった。ちょっとタカをくくりすぎてたみたい。

 

ということで、実際に富士通のIT子会社一覧をリストアップしてみた。

(ソースは転職クチコミサイトのVorkersで「富士通」で検索して出てきた中から業種が「SIer、ソフト開発、システム運用業界」の会社のみ抜粋した。)

 

富士通エフ・アイ・ピー株式会社
・株式会社富士通エフサス
・株式会社富士通ビー・エス・シー
・株式会社富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ
富士通ITマネジメントパートナー株式会社
富士通エフサスシステムズ株式会社
富士通ネットワークソリューションズ株式会社
富士通エレクトロニクス株式会社
・株式会社富士通九州システムズ
富士通エンジニアリングテクノロジーズ株式会社
・株式会社富士通ソフトウェアテクノロジー
・株式会社富士通ワイエフシー
・株式会社富山富士通
富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社
富士通エフ・アイ・ピーシステムズ株式会社
・株式会社富士通北陸システムズ
・株式会社富士通システムズウェブテクノロジー
・株式会社富士通アドバンストエンジニアリング
・株式会社富士通九州システムサービス
富士通関西中部ネットテック株式会社
富士通クラウドテクノロジーズ株式会社
・株式会社富士通ディフェンスシステムエンジニアリング
・株式会社滋賀富士通ソフトウェア
・株式会社富士通アドバンストシステムズ
・株式会社富士通コンピュータテクノロジー
富士通CIT株式会社
富士通エフサス東日本カスタマサービス株式会社
・株式会社富士通四国インフォテック
・福建富士通通信軟件有限公司
・株式会社富士通フロンテックシステムズ
・株式会社富士通システムズアプリケーション&サポート
富士通東邦ネットワークテクノロジー株式会社
・株式会社富士通新潟システムズ
富士通エフネッツサポート株式会社
・株式会社沖縄富士通システムエンジニアリング
・株式会社富士通鹿児島インフォネット
富士通アプリケーションズ株式会社
・株式会社富士通九州システムエンジニアリング
・株式会社富士通システムソリューションズ
・株式会社富士通中部システムズ
・株式会社富士通ミッションクリティカルシステムズ
・株式会社富士通アドバンストソリューションズ
・株式会社富士通システムズ・ウエスト
・株式会社富士通システムズ・イースト
・株式会社富士通東北システムズ
富士通エフ・アイ・ピー九州株式会社
富士通アプリケーション開発株式会社
富士通エフサス北陸カスタマサービス株式会社
富士通エフサス関西カスタマサービス株式会社
・株式会社富士通山口情報
・株式会社富士通バンキングソリューションズ
富士通ミドルウェア株式会社

 

と、こんな感じ。

正確に数えてないけど50〜60社ぐらいかな。

 

あくまでVorkersに登録されてる企業のみだし、IT・コンピュータ系だけどSIerにはカテゴライズされてない企業や半導体系の企業は除外してるのと、会社名に"富士通"って含まれてないけど富士通のシステム子会社もあるみたいだから、実態は上に挙げた数より全然多いと思う。

 

別に富士通に何の恨みもないけどさ、普通におかしくね?

 

例えば世界的に最大規模のSIer(と言っていいか分からないけど)であるアクセンチュアなんかも、システム小会社なんて数えるほどしかないぜ。

 

IBMとかだって同じ。

 

他にもSI部隊がいる外資のITベンダなんか見ても、こんなポコポコと小会社作りまくってるとこ無いでしょ。

 

上では一例として富士通を引き合いに出したけど、富士通だけが特殊なのか?といえば当然そうではない。

東芝も日立もどこも似たような感じ。

 

「何を今さら」って言うかもしれないけど、IT業界の人間はいつまでこんな状態を放置しとくんだよ、と言いたい。

 

こう言うと、中にはちゃんとした企業もあるし、悪いのは一部の偽装請負とかする企業であって、SESSIer自体は悪く無い、とか言うやつが必ずいるわけだけど、悪いに決まってんだろアホか。

 

そもそもSIerSESのような業態が成立してしまう業界構造それ自体が害悪だから。

 

なぜ害悪なのかという話をすると長くなるので省くけど、簡単に言うと「生産性を上げるインセンティブが失われる」から。むしろ逆インセンティブにすらなる。これは本当に致命的な問題。

 

そういう状況を作ったのは企業であって、そこで働くエンジニアは被害者だろ、っていう人もいるけど、そこに何の疑問も持たず加担する個々のエンジニアも俺は悪いと思う。

 

だってここ5年ぐらいで労働環境って劇的に改善したと思うけど、これってサービス残業を強制したり過労死を招いた企業にみんながめちゃくちゃ怒ってぶっ叩く風潮を作ったからメディアが取り上げて、国が動いて、結果として企業が対応せざるを得なくなったわけでしょ。

 

昔からずっと問題になってるITの多重請負は、みんなそこまで言うほど叩かないから社会問題にならなくて、メディアも取り上げない、結果として国は動かない、ってのが現状だと思う。

 

というわけで、もし日本の特殊なIT業界を少しでも正常化したいなら、SIerやSES企業に親でも殺されたのか?と思うぐらいボロカスに叩くこと。

 

自分が体験したSIerやSESの嫌な体験をネット上で公開すること。

 

そういう記事にアクセスするようにしたり、拡散したりすること。

 

一定のニュースバリューがあるとメディアが判断すれば、それが火種になって、どこかで閾値を越えて一気にガラっと変わる可能性は全然あると思うよ。

 

後は別のアプローチとして、多重請負を規制することを目玉の公約に掲げて、ITエンジニア達からの票を当て込んで国政に立候補すること。

 

思いつく解決策としてはそのぐらいかな。

 

まあそういう自分もSIerやSESに寄生して生きるマフィアの手先みたいな分際だけど、ほらマフィアだって内部の密告者を使って破滅に追い込むのが常套手段ですし。

 

というわけで終わり。